川口市自治基本条例

更新日:2018年02月28日

目次

  • 前文
  • 第1章 総則(第1条−第6条)
  • 第2章 市民等(第7条−第10条)
  • 第3章 市政運営
    第1節 市政運営の原則(第11条−第14条)
    第2節 議会(第15条・第16条)
    第3節 行政運営(第17条−第29条)
    第4節 市民投票(第30条)
    第5節 国及び他の地方公共団体との連携並びに国際交流(第31条)
  • 第4章 最高規範(第32条・第33条)
  • 附則

 私たちのまち川口市は、荒川や芝川などの水辺空間と安行台地に広がる豊かな緑地を有する、水と緑の自然空間に古くから恵まれたまちです。
 この環境を生かして育まれた鋳物産業と植木産業は、江戸時代中期の舟運の発達によってさらに発展し、これらにかかわる伝統的技術は、その後も時代を越えて脈々と引き継がれています。特に鋳物産業の歩みと共に、木型や機械などの関連産業の集積も進み、そこに働く職人などによって、ものづくりに対するこだわり、「川口かたぎ(職人気質)」という文化が生まれ、「キューポラのある街」としてその名が知られるようになりました。
 しかしながら、都市化の進展や、昭和40年代後半からの度重なる経済不況により、鋳物をはじめとする地場産業の経営環境は厳しさを増し、転廃業する工場が出てくるようになりました。その結果、首都東京に隣接していることから工場跡地にはマンションが次々と建設され、人口増加が続き、まちの景観や様子が大きく変わりました。
 我が国の社会経済状況の変化は、核家族化や生活様式の多様化をもたらし、地域における連帯意識の希薄化が懸念されてきています。一方、本市では、町会、自治会等を中心とした地域コミュニティ活動が早くから盛んであり、地域の伝統文化を大事に守ってきました。さらに近年では、ボランティア活動など各種市民活動への取り組みが進んできています。
 私たちは、先人がつくり守り続けてきた伝統や文化を引き継ぎながら、今日の川口を知り、将来の川口を見据え、すべての人が安心して幸せに暮らすことができ、「住んでよかった」「これからも住み続けたい」と実感できる「ふるさと川口」の実現に向けて、世代を超え、お互いを尊重し合い、協力してまちづくりに取り組まなければなりません。
 そこで、地方分権の進展に伴い、私たちの手によって私たちの思い描くまちづくりができるようになりつつある今、個性豊かな地域社会を築くためには、私たち市民の多様な価値観を適切に市政に反映させる仕組みづくりが必要となります。
 ここに、私たち市民が市政の主人公であることをすべての基本に置き、私たちから信託された議会、議員及び市長、そして、その他執行機関がそれぞれの役割に基づき、その責任を果たし、公平かつ誠実に市政運営を行い、私たちが幸せに暮らせる地域社会を実現するため、本市の最高規範として、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、市民の役割及び権利、市の役割及び責務並びに市政の運営に関する基本的な事項を定めることにより、本市における自治を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)市民 市内に在住、在勤若しくは在学する者又は公益を目的として市内で活動する者(法人を除く。)をいう。
(2)市 議会及び市長その他の執行機関をいう。
(3)自治 市政の主権者である市民が、市民として幸せに暮らせる地域社会を築くことをいう。

(市民の役割)

第3条 市民は、自治を実現するために、主権者として自ら、自治の主体としての自覚を持ち、市政に参加するよう努めるものとする。

(市の役割)

第4条 市は、自治を実現するために、主権者である市民の信託を受けて、市政を運営しなければならない。

(市民と市の協働)

第5条 市民は、自治を実現するために、市と協働することができる。
2 市は、市民から協働を求められたときは、これに対し当該市民と誠実に協議するものとする。
3 協働を推進するために必要な事項は、別に条例で定める。

(危機管理)

第6条 市民及び市は、自然災害、人的災害等の危機発生に備えて、危機管理体制を整備し、訓練を進めるものとする。

第2章 市民等

(市民の市政参加に関する権利)

第7条 市民は、市政の運営に対して、自ら意見を表明し市政に参加する権利を有する。
2 市民は、市政の運営に関する情報を知る権利を有する。
3 市民は、市政への関心又は参加の程度にかかわらず、市政の運営において公平かつ誠実な扱いを受ける権利を有する。
4 市民は、前3項に規定する権利を濫用してはならず、常に自治の実現のために行使するものであることを認識しなければならない。
5 市民の市政への参加のために必要な事項は、別に条例で定める。

(市民の互助)

第8条 市民は、互いに助け合い、自治を実現するものとする。この場合において、市民は、互いの権利及び利益を尊重しなければならない。

(地縁による団体及び市民団体による活動)

第9条 市民は、町会、自治会等の地縁による団体及び自主的に形成された市民団体による活動を通じて自治を実現することができる。
2 市民及び市は、前項に規定する地縁による団体及び市民団体を、自治を実現する担い手として尊重しなければならない。

(事業者の役割)

第10条 事業者は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を認識し、自治の実現に寄与するよう努めるものとする。

第3章 市政運営

第1節 市政運営の原則

(市民の意思の反映)

第11条 市は、市政の運営に市民の意思を反映するよう努めなければならない。

(情報の公開及び提供)

第12条 市は、市政の運営に関する説明責任を果たすため、市政の運営に関する情報を広く公開するとともに、これを積極的に提供するよう努めなければならない。

(個人情報の保護)

第13条 市は、その保有する情報の取扱いに当たって、個人の権利及び利益が侵害されることのないよう個人情報の保護に努めなければならない。

(公平かつ誠実な市政の運営)

第14条 市は、市政の運営において、市民に公平かつ誠実に対応しなければならない。

第2節 議会

(議会及び議員の役割及び責務)

第15条 議会は、市民の意思が市政の運営に反映されるよう、議案を審議し、議決しなければならない。
2 議会及び議員は、市民の意思が市政の運営に反映されるように政策を立案するよう努めなければならない。
3 議会は、市民の意思が市政の運営に反映されているかを調査し、監視しなければならない。

(開かれた議会)

第16条 議会は、原則としてすべての会議及び委員会を公開し、これらの結果を、速やかに、かつ、分かりやすく公表しなければならない。
2 議会及び議員は、市民の市政への参加を推進するため、市民の意見を聴取し、その意思の把握に努めるものとする。

第3節 行政運営

(市長の役割及び責務)

第17条 市長は、自治を実現するため、市民の意思が市政に反映されるよう公平かつ誠実に行政運営に当たらなければならない。

(市長その他の執行機関の役割及び責務)

第18条 市長その他の執行機関は、効率的かつ効果的な行政運営に努めなければならない。
第19条 市長その他の執行機関は、市政に関する重要な事項について、説明会、懇談会、パブリック・コメント手続、アンケート調査その他の効果的な方法により、市民の意見を聴取し、市民の意思の把握に努めるとともに、当該市民の意思を行政運営に反映させるよう努めなければならない。
2 市長その他の執行機関は、市民から市政に対する意見が提出されたときは、これを尊重するとともに、これに誠実に対応しなければならない。
3 市長その他の執行機関は、前2項の規定に基づき市民から表明された意見については、これに対する考え方及びその対応の結果を公表するよう努めなければならない。

(附属機関等の委員の公募)

第20条 市長その他の執行機関は、附属機関等の委員を選任するに当たっては、可能な限り市民から公募しなければならない。

(意思決定手続の透明化)

第21条 市長その他の執行機関は、行政運営における公正の確保及び透明性の向上を図るため、その意思決定の手続を明確にしなければならない。

(行政組織)

第22条 市長その他の執行機関は、その組織を、市民の視点に立った、効率的で、かつ、事務の執行に当たって責任の所在が明確となるものに整備するとともに、その見直しに努めなければならない。
第23条 市長その他の任命権者は、適切に職員を配置し、これを指揮監督しなければならない。
2 市長その他の任命権者は、職員が市民の視点に立った政策の立案及び効率的な事務の執行ができるよう職場環境を整備し、職員の意欲及び能力の向上を図るよう努めなければならない。

(職員の責務)

第24条 職員は、職務に必要な知識、技能等の向上を図り、自ら市民の一員であることを認識し、自治を実現するために公平、誠実かつ効率的に職務を遂行しなければならない。

(財政運営等)

第25条 市長は、健全な財政運営に努めなければならない。
2 市長は、財政状況に関する情報、予算の編成及び執行に関する情報並びに将来の財政の見通しを、市民に分かりやすく公表しなければならない。

(行政評価)

第26条 市長その他の執行機関は、市民の意思を反映した効率的かつ効果的な行政運営を進めるため、定期的かつ客観的に政策等の成果及び達成度を評価しなければならない。
2 市長その他の執行機関は、前項の規定による評価の結果を、市民に分かりやすく公表しなければならない。

(監査)

第27条 市は、監査委員制度のほか、必要に応じ、外部監査制度その他の監査に関する制度の整備を進めるものとする。
2 監査の結果に関する報告は、その結果に至った理由とともに、市民に分かりやすく公表するものとする。

(公平かつ誠実な行政運営の確保)

第28条 市は、第26条第1項及び前条第1項に規定するもののほか、公平かつ誠実な行政運営を確保するために特に必要があると認めるときは、市政オンブズマンその他の行政運営の監視及び改善を図るための制度を設けることができる。

(公益通報)

第29条 市長その他の執行機関は、公益通報があったときは、通報者が不利益を受けないよう最大限の配慮をしなければならない。

第4節 市民投票

(市民投票)

第30条 市長は、市内に住所を有する市民若しくは議会から請求があったとき、又は自ら必要があると判断したときは、市政に関する特に重要な事項について市民の意思を確認するため、市民投票を実施する。
2 市は、市民投票の結果を尊重しなければならない。
3 市民投票に付することができる事項、市民投票を請求する場合の要件、投票権を有する者の資格、投票及び開票の方法その他市民投票の実施に関し必要な事項は、別に条例で定める。

第5節 国及び他の地方公共団体との連携並びに国際交流

(国及び他の地方公共団体との連携並びに国際交流)

第31条 市は、広域的な視点から、国又は全国若しくは近隣の地方公共団体と共通する課題に対して、これらと対等な立場で相互に連携し協力するよう努めなければならない。
2 市は、平和、人権、環境、資源等の地球的規模の諸問題に関し、国際社会に果たすべき役割を認識して、広く国際交流に努めるものとする。

第4章 最高規範

(最高規範)

第32条 この条例は、本市が定める最高規範であり、市は、他の条例、規則等の制定改廃、解釈及び運用、総合計画等の策定及び運用その他市政の運営に当たっては、この条例の趣旨を最大限に尊重してこの条例との整合を図らなければならない。
2 議員、市長及び職員は、法令を遵守するとともに、この条例が本市の最高規範であることを認識した上で、その理念に基づき高い倫理観を持って職務を遂行しなければならない。

(運用推進委員会)

第33条 この条例の運用状況について検討し、市長にその改善のための提言を行うため、川口市自治基本条例運用推進委員会(以下「運用推進委員会」という。)を置く。
2 市長は、前項の提言を受けたときは、これを市民に公表するとともに、これを尊重し、広く市民の意見を聴いた上で、この条例の改正その他の必要な措置を講じなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、運用推進委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に条例で定める。

附則

この条例は、平成21年4月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
(1)第33条の規定 平成22年1月1日までの間において規則で定める日
(2)第5条第3項及び第7条第5項の規定 平成24年4月1日までの間において規則で定める日
(3)第30条の規定 平成25年4月1日までの間において規則で定める日

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