体罰等によらない子育てをひろげよう!

更新日:2023年10月31日

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児童虐待の相談件数は増加の一途をたどっており、子どもの命が失われる痛ましい事件が続いています。この中には、保護者が「しつけ」と称して暴力・虐待を行い、死亡に至るといった重篤な結果につながるものもあります。

こうしたことを踏まえ、令和元年6月に成立した児童福祉法等の改正法において、体罰がゆるされないものであることが法定化され、令和2年4月1日から施行されました。

「体罰」等が家庭や子どもにもたらす悪影響

体罰等が子どもの成長・発達に悪影響を与えることは科学的にも明らかになっています。

また、体罰等により一時的に子どもが落ち着いたように感じられても、それは根本的な解決ではありません。
体罰等は、親子関係や家庭に様々な弊害を生む可能性があることが報告されています。

「体罰」等が繰り返されると、下記のようなリスクが高まります

  • 親子関係の悪化
  • 精神的な問題の発生
  • 反社会的な行動の増加
  • 攻撃性の増加

 

「しつけ」と「体罰」は何が違うのか

 

  • 「しつけ」とは、子どもの人格や才能などを伸ばし、
    社会において自律した生活を送れるようにすることなどの目的から、
    子どもをサポートして社会性を育む行為です。
  • 「体罰」とは、子どもの身体に何らかの苦痛を引き起こし、
    または不快感を意図的にもたらす行為(罰)です。

親には、子どもの利益のために監護・教育をする権利・義務があります。
このため、親は、子どもを養育し、教育するためのしつけをしますが、
「理想の子どもに育てよう」、「将来困らないよういしっかりとしつけなくては」、
「他人に迷惑をかけない子どもにそだてなくては」などといった思いから、
時には、しつけとして子どもに罰を与ようとすることもあるかもしれません。

しかし、たとえしつけのためだと親が思っても、身体的に、何らかの苦痛を引き起こし、
または不快感を意図的にもたらす行為(罰)である場合は、
どんなに軽いものであっても体罰に該当し、法律で禁止されています。

 

このような行為はすべて体罰です

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  • 言葉で3回注意したけど言うことを聞かないので、頬を叩いた
  • 大切なものにいたずらをしたので、長時間正座をさせた
  • 友達を殴ってケガをさせたので、同じように子どもを殴った
  • 他人のものを取ったので、お尻を叩いた
  • 宿題をしなかったので、夕ご飯を与えなかった
  • 掃除をしないので、雑巾を顔に押しつけた

※道に飛び出しそうな子どもの手をつかむといった子どもを保護するための行為などは該当しません。

直接的・身体的な行為でなくても、子どもの心を傷つけることは子どもの権利を侵害します

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  • 冗談のつもりで、「お前なんか生まれてこなければよかった」と言った
  • 兄弟と比べてお前はだめな子だと言った。
  • 子どもの前で配偶者に暴力を振るった

体罰等によらない子育てのための工夫のポイント

1 子どもの気持ちや考えに耳を傾けましょう

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相手に自分の気持ちや考えを受け止めてもらえたという体験によって、子どもは気持ちが落ち着いたり、大切にされていると感じたりします。

異なる考えや意見を持っていたとしても、「あなたの考えはそうなのね」と、まずは耳を傾け、その上で自分は違く考えを持っていることを伝えてみるのも一つです。意見は異なっても、お互いの気持ちや、その後のコミュニケーションに何か変化が生じるかもしれません。子どもに問いかけしたり、相談をしながら一緒に考えましょう。

2 「言うことを聞かない」にもいろいろあります

保護者の気をひきたい、子どもなりに考えがある、言われていることを子どもが理解できていない、体調が悪いなど様々な理由があります。

「イヤだ」というのは、子どもの気持ちです。こうした感情を持つこと自体はいけないことではありません。これに対して、保護者の対応もいろいろな方法が考えられます。

重要なことではない場合、今はそれ以上やり合わない、というのも一つの方法かもしれません。

3 子どもの成長・発達によっても異なることもあります

子どもの年齢や成長・発達の状況によって、できることとできないことがあります。また、大人に言われていることが理解できず、結果として「言うことを聞かない子」と見えることもあります。

それぞれの子どもによって成長・発達の状況にも差があることを理解することも大切です。子ども自身が困難を抱えているときは、それに応じたケアが必要なこともあります。

4 子どもの状況に応じて、身の回りの環境を整えてみましょう

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乳幼児の場合は、危ないものに触れないようにするなど、「触っちゃダメ!」と叱らないで良い環境づくりを心がけましょう。子どもに触れられたくないものは、見えないところや届かないところにしまうなど、環境を変えることで、イライラすることが減ることもあります。

また、子どもが困った行動をする場合、子ども自身も困っていることがあります。例えば片づけをしない場合、何をどこに置いたらよいか分かるようにするなど、子どもが自分でできるような環境を整えたり、子ども自身ができるように教えてあげたりしましょう。

5 注意の方向を変えたり、やる気に働きかけてみましょう

子どもはすぐに気持ちを切り替えるのが難しいこともあります。時間的に可能なら、待つこと子どもの気持ちや行動が変化するかもしれません。難しければ、家から出て散歩するなど、場面を切り替えることで、注意の方向を変えてみるのもよいでしょう。

課題に取り組むことが難しいなどの場合は、子どもが好きなことや楽しく取り組めことなど、子どものやる気をが増す方法を意識してみましょう。

6 肯定文で分かりやすく、時には一緒にお手本に

子どもに伝えるときは、大声で怒鳴るよりも、「ここでは歩いてね」など、肯定文で何をすべきかを具体的に、また、穏やかに、より近づいて、落ち着いた声で伝えると、子どもにも伝わりやすくなります。

また、子どもは大人の姿からいろいろなことを学びます。「一緒におもちゃを片付けよう」とともに行うことで、やり方を示したり教えたりすることもできます。静かにしていなくてはならない場所にいくときは、小さな声で話す練習をしてみるなども一つの方法です。

「こんにちは」、「ありがとう」といった挨拶も大人が日頃から意識することで、子どもも自然に覚えていきやすくなります。

7 良いこと、できていることを具体的に褒めましょう

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子どもの良い態度や行動を褒めることは、子どもにとって嬉しいだけでなく、自己肯定感を育むことにもなります。日常生活の中でも、「靴をそろえて脱いでいるね」など、肯定的な注目を向けることで、その態度や行動が増えることにもつながります。結果だけでなく、頑張りを認めることや、今できていることに注目して褒めることも大切です。

子どもの態度や行動を褒めるときは、何が良いのかを具体的に褒めると、子どもにより伝わりやすくなります。また、すぐに褒めるのがいちばん効果的ですが、寝る前などの落ち着いたタイミングでも大丈夫です。

保護者自身の工夫のポイント

否定的な感情が生じたときは、その気持ちに気付き、認める

子育てはストレスが溜まることもあり、また、子育て以外でもストレスは溜まるものです。

否定的な感情が生じたときは、まずは、そういう気持ちに気付き、認めることが大切です。

そして、それは子どものことが原因なのか、自分の体調の悪さと忙しさ、孤独感など自分自身のことが関係しているのかを振り返ってみると、気持ちが少し落ち着くことがあるかもしれません。

ストレスの解消につながりそうな自分なりの工夫を見つける

もし、子どものことより、自分の状況(時間や心に余裕がないなど)が関わっているときは、深呼吸して気持ちを落ち着けたり、ゆっくり5秒数えたり、窓を開けて風にあたって気分するなど、少しでもストレスの解消につながりそうな自分なりの工夫を見つけられるとよいでしょう。時には保護者自身が休むことも、大切です。

周囲の力を借りる

子どもと関わる中でいろいろな工夫をしても、上手くいかないこともあります。そのようなときは、周囲の力を借りると解決することもあります。
勇気をもってSOSを出すことで、まだ気付いていない支援やサービスに出会えたり、それによって疲れやイライラが軽減したりするかもしれません。

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家庭児童相談室では、家庭や児童、子育てに関してのいろいろな悩みや不安についての相談をお受けしています。

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