ダニ媒介感染症

更新日:2019年11月01日

マダニは、ダニ媒介感染症(ライム病、回帰熱、日本紅斑熱、ダニ媒介脳炎、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)等)の原因となる病原体を保有していることがあり、マダニに咬まれることでこれらの病気に感染することがあります。

マダニとは

マダニは、森林や草地など屋外に生息する比較的大型のダニで、食品等に発生する「コナダニ」や衣類等に発生する「ヒョウヒダニ」等住宅内に生息するダニとは種類が異なります。近づいた動物や人に寄生し、吸血します。特に春から秋にかけて活動が活発になります

マダニが媒介する感染症に注意しましょう!

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

主な症状等

原因不明の発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛等)で重症化し、死亡する場合もあります。他にも頭痛、筋肉痛、意識障害等の神経症状、リンパ節腫脹、呼吸不全症状、下血等の出血症状が出現します。

潜伏期間は6日から2週間です。

これまでのところ、重症熱性血小板減少感染症候群の患者は、西日本を中心に発生していますが、これまでに患者が報告された地域だけではなく、患者が報告されていない地域においても、SFTSウイルスを保有したマダニが見つかっています。

感染経路

SFTSを保有しているマダニに咬まれることによって感染します。また、発症したイヌ、ネコの体液等から感染する可能性もあります。

治療方法

対処療法のみで、有効な薬剤やワクチンは確立されていません。

ダニ媒介脳炎

主な症状等

日本ではあまり知られていませんが、世界では決してまれな病気ではありません。ダニ媒介脳炎にはいくつかの種類があり、その主なものとして、ロシア春夏脳炎、中央ヨーロッパ型脳炎があります。

ロシア春夏脳炎では、高度の頭痛、発熱、悪心等の後、髄膜脳炎に進展します。

中央ヨーロッパ型脳炎では、発熱、筋肉痛等のインフルエンザ様症状が出現し、2~4日続きます。そのうちの3分の1は、髄膜脳炎に進展し、けいれん、めまい、知覚異常等がみられます。

潜伏期間は、通常7日から2週間です。

発症した場合の致死率は、中央ヨーロッパ型脳炎では1~2%、ロシア春夏脳炎では20%といわれており、回復しても数割の人で神経学的後遺症がみられます。

感染経路

ウイルスを保有するマダニに咬まれることで感染します。また、感染した山羊や羊等の未殺菌乳を飲んで感染することもあるとされています。通常、人から人に直接感染することはありません。

治療方法

特異的な治療方法はなく、対症療法となります。

予防のためには

「マダニ」に咬まれないようにすることが、最も重要です。

注意点

特に、マダニの活動が盛んな春から秋にかけては、マダニに咬まれる危険性が高まるので、次のポイントに注意しましょう。

  • 草むらや藪等、マダニが多く生息する場所に入る場合には、肌の露出を少なくする。例えば、長袖や長ズボン(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツを利用する)、足を完全に覆う靴(サンダル等は避ける)、帽子、手袋、首にタオルを巻く等。
  • 服は明るい色のものがお勧め(マダニを目視で確認しやすい)
  • DEET(ディート)という成分を含む虫除け剤の中には服の上から用いるタイプがあり、補助的な効果があると言われている。
  • 屋外活動後は入浴し、マダニが付着していないか、咬まれていないか確認する。特に、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏、胸の下、頭部(髪の毛の中)等がポイントです。
  • 犬や猫等に付着したマダニが、ヒトに飛び移るケースもありますので、犬や猫等と草むらや藪に入った場合は、動物にも付着していないか確認してください。もし、動物がマダニに咬まれている場合は、獣医科医院に御相談ください。

もし、マダニに咬まれたら・・・

マダニ類の多くは、ヒトや動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、長時間(数日から、長いものは10日間以上)吸血しますが、咬まれたことに気が付かない場合も多いと言われています。

吸血中のマダニに気が付いた時、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させてしまったりする恐れがあるので、医療機関(皮膚科等)でマダニの除去や洗浄等の処置をしてもらいましょう。

マダニに咬まれた後、数週間程度は体調の変化に注意し、発熱等の症状が現れたら速やかに医療機関を受診してください。

参考

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